
12月7日(土)から15日(日)に開催する「森岡成好展 南の島土」のご案内です。初日は森岡さんを囲んで午後過ぎより泡盛と簡単な料理を用意します。初めての方もどうぞご参加ください。
高野山の麓、和歌山県下天野に暮らす森岡成好さん。従来の展示会では地元周辺で掘った原土による焼き締めが中心でしたが、今回は森岡さんの念願であった沖縄諸島を中心とする南の島土のみを使った焼き物が並びます。若い頃から沖縄には頻繁に通い、2010年には石垣島に築窯したこともありますから第二の制作拠点とも言えるでしょう。
南洋の島々の土は、採取地ごとの地質的な個性が魅力的です。また東南アジアから渡来した南蛮ものに発する「南蛮焼締め」に拘ってきた森岡さんにとってはご自身の原点を探る思いがあるでしょう。森岡さんが若かりし頃は、日本六古窯を始めとする焼き物に取り組むには産地の約束事が多かったそうですが、それに対して南蛮焼締めは、南全般(中国南部、南洋諸島、呂宋、安南、沖縄諸島)と幅が広くその定義が曖昧なため、自分の解釈で取り組める自由さを選んだ側面もあるようです。
以前、森岡さんにとって理想とする作家像を尋ねたところ、返ってきたのは「昔旅したバリ島にいた上半身裸でろくろをひく九十歳のおばあちゃん」との事でした。土ぼこりの舞う生活が染み付いた仕事場。何にもとらわれずに無心で作る姿。大作家名をあげるのではなく、森岡さんらしい答えだと思ったのでした。南の島には、そういう暮らしと一体になった思いも含まれているのです。
しかし実際の製作に於いては、普段使い慣れた土でなく、未知の土も多いですから、焼成テストを重ねてそれぞれの土の特性を掴まなければならず、自ずと難易度も高かったはずです。この文章を書いている時点で、あと一回大窯を焚く準備を進めているそうです。南の島土と一言でいっても、土地ごとに多様な表情が生まれます。70歳を超えても尚、新しく取り組まれる姿勢に頭が下がります。
さて12月の寒い季節ではありますが、青い海に囲まれた南の島土の焼き物はどんな仕上がりになるでしょう。今から楽しみでなりません。どうぞ皆様のご来店をお待ちしております。店主
略歴
1948年 奈良県生まれ
1973年 和歌山県天野に築窯
2010年 石垣島に築窯
2019年 現在、和歌山県かつらぎ町にて制作
森岡成好展 南の島土
The Clay of South Sea Islands
2019年12月7日(土)-15(日)会期中無休
作家在廊日 12月7日(土)・8日(日)
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
