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「芳賀龍一展 ボーダーレス」 8日目

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「芳賀龍一展 ボーダーレス」の8日目。



芳賀さんの敬愛する加藤唐九郎というよりは半泥子的印象の茶碗(売約済)です。


オブジェに主眼を置いて器は便宜的に作る人が時折いますが、芳賀さんの場合は両者の制作意識には乖離がありません。それは自然素材から生み出す焼き物の両義性に目を向けているからでしょう。お互いに同じ素材と方法で繋がっている、このシンプルな文脈の一致が芳賀さんの作品に一貫性をもたらしています。今展の両者の展示品を見回しても違和感がないのは、これが理由です。


さてこれらの茶碗ですが、実験的に素材を焼いた作品に比べると実に正当な方向性です。二年前の弊店の個展時よりも一層オーセンティックな印象を受けます。しかしながら、古典的な名物を模写するアプローチとは異なります。例えば写真1枚目の長石釉の丸碗。美濃のもぐさ土+長石釉を使った定型的な志野茶碗と方法論は異なり、北関東の素材を用い、志野茶碗の構造的成り立ちから理解して再現しようとする芳賀さんの新たな試みなのです。


一時の前衛的な茶碗ブームから、今また古典的模写を評価する市場の流れがあります。それに対して芳賀さんの茶碗は素材の原理から捉え直そうとしているように思えます。1930年の荒川豊蔵の古志野の陶片発見に端を発する桃山陶再興から91年が経ち、いま新たな志野がここ益子から始まるというストーリーもわくわくします。



いまだ完成されず過渡期にあるからこそ面白い。この瞬間を捉えた芳賀龍一展も残すところあと1日になりました。食器を中心に約70点を展示販売すると同時に、売約済の作品もご覧いただけます。どうぞこの機会に現物を手にとってご覧ください。


芳賀龍一展オンラインストア公開中(10/17(日)17時迄)
https://utsuwanoteshop.stores.jp/



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芳賀龍一展 ボーダーレス
2021年10月9日(土)~17日(日)営業時間 11時~18時最終日は17時迄ギャラリーうつわノート埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
芳賀龍一プロフィール1984年 福島県会津若松市生まれ2010年 武蔵野美術大学大学院彫刻コース卒業2013年 栃木県芳賀郡益子町に築窯2021年 現在、益子町にて製作
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