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「瀬川辰馬展 Compile of Ceramics」開催のお知らせ

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4月2日(土)~10日(日)に開催する「瀬川辰馬展 Compile of Ceramics」のご案内です。



東京の下町に工房を構える瀬川辰馬さんの器は、円や楕円といった数理的な形状で、アルミ、銀、硫化銀、鉄、銅などの金属を陶土に焼き付けて定着させているのが特徴です。当初は白釉や銀彩といった陶芸の一般的な技法を用いていましたが、近年は独自の工夫により従来には無かった金属を定着させ、独特の表層を生み出しています。また金属ゆえの経年変化も織り込んだ育つ食器としての面白さも兼ね備えています。


大学時代は電子音楽やインスタレーションを手掛け、さらにメディアアートを深める進学を目指していました。しかし卒業制作の作品を準備していた頃の2011年3月に東日本大震災が起こり、電力供給の制限など不安定な状態に見舞われます。その時に自分の作る作品が、自然災害によって左右される脆弱なインフラの上に成り立っていることに愕然とし、自分の手で実感のある素材を求める衝動が湧き起こりました。


それを契機に多治見市の陶磁器意匠研究所へ入所し、陶芸家として再出発をすることを選びました。瀬川さんの器は、原土+薪窯といった保守本流の焼き物を志向するのではなく、陶土を纏う金属のサーフェイスを突き詰めた先にあるオルタナティブな現象を求めています。例えば意匠研の卒業制作では、古いiphone、カメラ、女性のアクセサリーなどを粉砕して釉薬に混ぜて器に用いるといった実験的な試みを作品化しました。文明の利器や惜別の金属を、陶芸材料として新たな表層に代替させるというコンセプチュアルな手法が瀬川さんの陶芸の根源的な方向性を表しています。


瀬川さん曰く、陶芸の土を成形して窯で焼く行為は、電子音楽のプログラミングと同様に、人間の書いたソースコードを、コンピュータ言語であるバイナリコードに変換する「コンパイル」という過程と重なると言います。さらにプログラミングと陶芸の違いは、プログラムのエラーは動作不良にしかならないが、陶芸のエラーの場合は、偶発的な発見が生まれること、それを包含する自然素材の許容性が魅力的だと考えています。


今回、弊店での瀬川辰馬さんの初個展となります。瀬川さんの手によってコンパイルされた器がこの空間に並ぶことによって、選ぶ側の心理にどう新たにコンパイルされ直すのか、その変換される瞬間を目の当たりに出来るのを楽しみにしています。店主


瀬川辰馬展 Compile of Ceramics
2022年4月2日(土)~10日(日)
11時~18時 最終日は17時迄  
作家在廊日 4月2日・3日・4日
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6


プロフィール
1988年 神奈川県生まれ、千葉県育ち
2011年 慶応義塾大学 環境情報学部 修了
2014年 多治見市陶磁器意匠研究所 修了
2016年 東京都足立区にて独立
2017年 千葉県長柄町に築窯
2022年 東京都足立区にて制作


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