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「森岡成好展 うつわと言葉」3日目

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「森岡成好展 うつわと言葉」の3日目。


森岡成好さんの堂々とした長方台皿や板皿5種です。味のある森岡さんの字体による李白の漢詩が、平面的な矩形ゆえに整然として見えます。化粧土が象嵌された釉薬ものと、土に直接彫った焼き締めがあります。李白の漢詩は森岡さんが好んで板皿に書いてきました。中国盛唐時代の李白は、放浪の中奔放で自在な詩風で知られ、「酒仙」とまで呼ばれ酒を礼賛した詩を数多く詠んでいます。森岡さんは李白のお酒にまつわる一節を引用して、ご自身の思いと重ねているようです。知識から入るのもいいですが、むしろ焼き物として見たときの字体の風合いと、その意味が使っている内に染み込んでくる楽しみ方が何よりです。


写真順
135) 四方台皿 幅24.5×奥行24.5×高さ8cm 
「把酒問月」古人今人若流水

昔の人も、今の人も、人間はみな流れる水のように去って行くのである。そして、昔も今も、人々は明るい月を眺めては、私と同じように永遠の月に対して果かない人の命を嘆き、物思いにふけっているのだ。人生のはかないことは致し方ないとしても、ただ私が願うことは、歌をうたい、酒に向かっている時だけは、月の光がいつまでも黄金(こがね)づくりの酒樽の中を照らしてほしい、ということである。



4) 焼締板皿 幅51×奥行23.5×高さ4cm 
「月下独酌」花間一壼酒

花の咲き乱れるところに徳利の酒を持ち出したが相伴してくれる者もいない。そこで杯を挙げて名月を酒の相手として招き、月と私と私の影、これで仲間が三人となった。だが月は何しろ酒を飲むことを理解できないし、影はひたすら私の身に随うばかりだ。まあともかくこの春の間、しばらく月と影と一緒に楽しもう。私が歌えば月は歩きまわり、私が舞えば影はゆらめく。しらふの時は一緒に楽しみ、酔った後はそれぞれ別れていく。月と影という、この無情の者と永く親しい交わりをして、遥かな天の川で再会しようと約束するのだ。



2) 長方台皿  幅51×奥行21×高さ6.5cm 
「月下独酌」三杯通大道

三盃飲めば大道無為に通じ 一斗なれば無我の境地に達する 酒飲みは酒中で得られる妙趣を求める 素面に言っても分かるまいだろうが。



3) 長方台皿  幅58×奥行20×高さ6cm 
「月下独酌」花間一壼酒

同上


1) 長方台皿 幅47×奥行21×高さ9cm 
「山中與幽人對酌」兩人對酌山花開

花の咲いている山中で、君と私は向き合いながら、世俗のことを忘れて酒を酌み交わす。一杯、一杯、また一杯と。私はすっかり酔って眠くなったので、君はひとまず帰りたまえ。明朝気が向いたら今度は琴を抱えて話しに来てくれ。



※現代語訳はネットから引用させて頂きました。


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森岡成好 展 うつわと言葉
2022年12月3日(土)~11日(日)
11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 


略歴
1948年 奈良県生まれ
1970年 米国で映画製作技術を学ぶ
1973年 和歌山県天野に築窯
2022年 和歌山県かつらぎ町にて制作


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上段
世阿弥「花」
種田山頭火「分け入っても分け入っても青い山」
「窯鳴 火炎 照我」
良寛「天上大風」


下段
種田山頭火「しぐるる土をふみしめてゆく」
松尾芭蕉「格に入り、格を出でて初めて自在を得べし」
吉田一穂「鳥跡汀 拾流木 焼魚介 勺濁酒 濤声騒 波蝕洞」
「一所不住」



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