「水谷渉展 規格外」の7日目-2。
水谷渉展の会期は明日1/14(土)までとなりました(本年より会期は一日短くなります)。時間を繰り上げて17時で終了させて頂きます。オンラインストアでは紹介しきれていない作品がたくさんあり、最終日でも十分に見応えがありますので、関心のある方はどうぞお出掛けください。
写真は佐賀県唐津市相知町佐里にある水谷渉さんの仕事場の様子です。唐津の土を販売していた坂本祐作さんから陶土業の仕事を引き継ぎ、この場で作陶と共に粘土の販売も行っています。一見すると工場のような大きさですが、屋内は所狭しと在庫品がカオス状態となり、また雑然とした薪窯(室内!)が設置されています。累々と作り重ねてきた痕跡を一目で実感できる現場です。
愛知県春日井市1975年生まれ。ご両親ともに陶芸家であったこともあり、中学生の時から陶芸には携わり、高校時代には家業も手伝っていたそうです。19際には唐津に渡り野村淳二さんや中川自然坊さんのもとで修業、21歳には常滑の奇才・鯉江良二さんのところへ通いました。2000年25歳で岐阜県飛騨高山に薪窯を作り独立し作家活動のスタート、2011年には島根県松江市へ移住し5年間の作陶、そして7年前の2016年にようやく唐津に辿り着きました。
その都度のいきさつは詳しくはありませんが、実に30年以上の陶芸キャリアであり、まさにその道ひと筋の人生です。お聞きする限り十分な実績ではありますが、一方で時代に翻弄されてきたようにも思います。90年代から2000年代にかけて日本経済の凋落とともに、人々の意識も生活環境も変化し、陶芸を取り巻く市場も大きく変化しました。前衛的な陶芸は独立したころはやがて下火になり、生活空間に調和するうつわの時代を迎えます。それは個人作家のみならず、陶芸という産業そのもののが規模で賄えない大きな変化であったと思います。
この変化に応じて変わることができた陶芸家もいれば、時代に梯子を外されたまま方向を見失った陶芸家もいたと思います。水谷さんはどうだったのでしょう。2005年頃にクラフトフェア松本に出展されていた時が初見でしたが、当時の「暮らしブーム」のムードには溶け込めずにいたように思います。その時から水谷さんの仕事のことは知らないままだったのですが、昨年唐津を訪ねて感じたのは、この人は変わらずにそのまま歩んできたのだという印象でした。もちろんご自身なりの感覚の変化もあったでしょうし、作風も変わったのだと思います。しかし、基本的な「作る」姿勢は変わっていないように思いました。
焼物本来の粘土、焼成を基本に据えたまま、迎合し過ぎることなく、ご自身の身体感覚のまま作り続けてきた。ぶれないというか、変わろうとしないというか、変わる気がなかったというか、いや、あんまり考えていなかったのか。それが17年ぶりにお会いしたときの印象でした。
2000年代に勃興した暮らしブーム一律のうつわも一段落し、作り手も選ぶ人も少し幅が広がってきたように思います。その中で、あらためて焼き物の本質を見つめ直そうとする若い陶芸家たちが増えています。そんな時代がぐるっと一周して、ようやく水谷さんのやってきたことに追いついたように思います。まだ得体の知れないことも多いですが、今まで歩んできた陶芸人生がこれから新たな段階を迎えるのだと確信しているのです。
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【水谷渉展オンラインストア】
Wataru Mizutani Exhibition Online Store
https://utsuwanoteshop.stores.jp/
1月14日(土)23時まで
Until 23:00, January 14 (JST)
水谷渉展 規格外
2023年1月7日(土)~1月14日(土) 会期中無休
営業時間 11:00~18:00 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1975年 愛知県に生まれる
1990年 陶芸を始める
1994年 唐津で修行
1996年 鯉江良二氏に師事
2000年 岐阜県飛騨高山に築窯
2011年 島根県松江市に移住
2016年 唐津にて作陶を始める
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水谷渉展の会期は明日1/14(土)までとなりました(本年より会期は一日短くなります)。時間を繰り上げて17時で終了させて頂きます。オンラインストアでは紹介しきれていない作品がたくさんあり、最終日でも十分に見応えがありますので、関心のある方はどうぞお出掛けください。
写真は佐賀県唐津市相知町佐里にある水谷渉さんの仕事場の様子です。唐津の土を販売していた坂本祐作さんから陶土業の仕事を引き継ぎ、この場で作陶と共に粘土の販売も行っています。一見すると工場のような大きさですが、屋内は所狭しと在庫品がカオス状態となり、また雑然とした薪窯(室内!)が設置されています。累々と作り重ねてきた痕跡を一目で実感できる現場です。
愛知県春日井市1975年生まれ。ご両親ともに陶芸家であったこともあり、中学生の時から陶芸には携わり、高校時代には家業も手伝っていたそうです。19際には唐津に渡り野村淳二さんや中川自然坊さんのもとで修業、21歳には常滑の奇才・鯉江良二さんのところへ通いました。2000年25歳で岐阜県飛騨高山に薪窯を作り独立し作家活動のスタート、2011年には島根県松江市へ移住し5年間の作陶、そして7年前の2016年にようやく唐津に辿り着きました。
その都度のいきさつは詳しくはありませんが、実に30年以上の陶芸キャリアであり、まさにその道ひと筋の人生です。お聞きする限り十分な実績ではありますが、一方で時代に翻弄されてきたようにも思います。90年代から2000年代にかけて日本経済の凋落とともに、人々の意識も生活環境も変化し、陶芸を取り巻く市場も大きく変化しました。前衛的な陶芸は独立したころはやがて下火になり、生活空間に調和するうつわの時代を迎えます。それは個人作家のみならず、陶芸という産業そのもののが規模で賄えない大きな変化であったと思います。
この変化に応じて変わることができた陶芸家もいれば、時代に梯子を外されたまま方向を見失った陶芸家もいたと思います。水谷さんはどうだったのでしょう。2005年頃にクラフトフェア松本に出展されていた時が初見でしたが、当時の「暮らしブーム」のムードには溶け込めずにいたように思います。その時から水谷さんの仕事のことは知らないままだったのですが、昨年唐津を訪ねて感じたのは、この人は変わらずにそのまま歩んできたのだという印象でした。もちろんご自身なりの感覚の変化もあったでしょうし、作風も変わったのだと思います。しかし、基本的な「作る」姿勢は変わっていないように思いました。
焼物本来の粘土、焼成を基本に据えたまま、迎合し過ぎることなく、ご自身の身体感覚のまま作り続けてきた。ぶれないというか、変わろうとしないというか、変わる気がなかったというか、いや、あんまり考えていなかったのか。それが17年ぶりにお会いしたときの印象でした。
2000年代に勃興した暮らしブーム一律のうつわも一段落し、作り手も選ぶ人も少し幅が広がってきたように思います。その中で、あらためて焼き物の本質を見つめ直そうとする若い陶芸家たちが増えています。そんな時代がぐるっと一周して、ようやく水谷さんのやってきたことに追いついたように思います。まだ得体の知れないことも多いですが、今まで歩んできた陶芸人生がこれから新たな段階を迎えるのだと確信しているのです。










【水谷渉展オンラインストア】
Wataru Mizutani Exhibition Online Store
https://utsuwanoteshop.stores.jp/
1月14日(土)23時まで
Until 23:00, January 14 (JST)
水谷渉展 規格外
2023年1月7日(土)~1月14日(土) 会期中無休
営業時間 11:00~18:00 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1975年 愛知県に生まれる
1990年 陶芸を始める
1994年 唐津で修行
1996年 鯉江良二氏に師事
2000年 岐阜県飛騨高山に築窯
2011年 島根県松江市に移住
2016年 唐津にて作陶を始める

