






「岩下賢一 漆工展 "Reborn"」の6日目。
最終日の6月29日(土)11時~17時に岩下賢一さんが再度在廊することになりました。直接話をお聞きになりたい方はどうぞこの機会にご来店ください。
漆器は堅牢かつ美しさを求めるために、何度も塗り重ねる美学があります。その美しさ、堅牢さ、安全性ゆえに日本を代表する優れた食器として日常の食卓に根付いてきました。しかし歴史的に見れば、昔の庶民が使う食器は木地のみものが多く、やがて防水、割れ防止などの機能性を高めるために段階的に被膜を強くする方法が発展しました。
今でも木地のままやオイル仕上げのみの木の器は普通にあります。拭き漆もまたその段階のひとつであるでしょう。本来は漆と木地の間には無限の段階があって、どこまで塗るかはそれぞれの意図によって選ばれるものです。
以前から思っていたのは、漆器の下地の段階の美しさにも目を留めていました。このままでもいいのではないか?と思うこともありました。どこまでがいいのか、機能性、美意識の間で揺れ動くこともあります。
今回の岩下賢一さんの仕事は、ある意味で「塗らない美学」であり「剥がす」ことから始まる逆説的アプローチです。塗師にとっては選択しづらいことをチャレンジしてくれました。逆方向から向かうことでむしろ気づく「塗る」ことの意味、そしてその過程に潜む未完成な美しさもあるでしょう。その中庸に無限の可能性がまだ秘めている。今回の岩下さんの漆器を見ているとそう思います。
【岩下賢一展オンラインストア】
https://utsuwanoteshop.stores.jp/
販売期間:6/30(日)23:00まで
岩下賢一 漆工展 "Reborn"
2024年6月22日(土)~29日(土)
11:00~18:00 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
略歴
1983年 埼玉県川越市生まれ
2005年 桑沢デザイン研究所デザインを学ぶ
2008年 建築事務所にて商業空間に携わる(5年間)
2013年 埼玉県大宮市の盆栽園にて職人仕事に携わる
2014年 古家具の修理の仕事に携わる
2016年 輪島漆芸技術研修所にて漆や蒔絵を学ぶ
2020年 漆芸家 室瀬和美氏(重要無形文化財)に師事
2021年 塗師として独立
2022年 埼玉県ときがわ町にて活動
2024年 埼玉県から長野県に移住予定
