
「 小嶋亜創 展 ~下手の美~ 」(~12/7迄)を開催中です。
小嶋亜創さんの個展は、当店5回目となりますが、あらためて小嶋さんの器づくりの背景についてご紹介を致します。
小嶋亜創(こじまあそう)さんは1978年生まれ。長野県大町市で半農半陶の暮らしをしています。米、野菜、鶏卵、味噌、醤油など毎日の食材は自分の敷地で穫れたもので賄っています。窯業学校に行かず、先生にも師事せず、陶芸は全て独学です。農業も陶芸もはじめは全て未経験。何となく出来そうな気がするという自信を基にゼロから取り組んできました。作った薪窯は20基に及び、試行錯誤の積み重ねから、今の器のスタイルを築きました。自らの体で覚えた経験は、どんなマニュアルにも無い、小嶋さんだけの大切な実績となって今に繋がっています。
農業にも陶芸にも共通するのは、土を対象とすることです。10代の頃から土地さえあれば何とか生きていけるという思いがあったそうです。田畑を耕し、粘土をこねて器を作る毎日。それは時勢にのったスローライフとは違い、古来から続いてきたもっと泥臭く根源的な生活の実践です。
小嶋さんが目標とするのは、かつて庶民が衒いなく作った普通の器。生活に必要な用具として効率的で飾らない器。そんな器を作るには、当時のような生活レベルに近づいて、その精神性から学びたいと言います。思考が追いつかないぐらい手早く作ることで、無駄な概念を削ぎ落とし、器の健全な美しさを生みだそうとしています。
小嶋さんの器の魅力は、外形もさることながら、その根底にある一貫した思想性なのです。耕して糧を得る。土を捏ねて器を作る。必要以上の対価を求めない。毎日、毎月、毎年の繰り返し。この循環の中から小嶋さんの器の美しさが生まれるのです。
小嶋亜創展 ~下手(げて)の美~
2015年11月28日 (土)~12月7日 (月) 会期中無休
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図


小嶋亜創プロフィール
1978年 京都で生まれ、長野県上田市で育つ
1997年 百姓を目指し全国の農家に居候しながら旅をする
2000年 独学で作陶を始める
2004年 長野県大町市に移住し半農半陶の生活を営む
2015年 現在、同地にて百姓と陶芸の日々を過ごす