「五十嵐裕貴 木工展 朽ち黒」(~6/18迄)の4日目。
五十嵐さんの黒木器の特徴は、木の入り皮、抜け節、割れ、腐食、たわみ、そりなど、つまり 木材の負の要素を転じて見所としている点です。一般的に木工の旋盤や家具の仕事は、建築的な数理の世界とも近く、整然を良しとする傾向にあるのではないでしょうか。そのベクトルとは逆の視点による五十嵐さんの仕事は果たして特殊なことなのか。
一方、焼き物の世界は不良箇所を美的な見所とする偏執的な歴史を辿ってきました。窯変をはじめ、釉薬の縮れである梅華皮(かいらぎ)、化粧土のピンホールによる雨漏り、重ね焼き跡の牡丹餅・目跡、焼け損じのかせ・色斑、さらに成形のゆがみ・たわみなど、枚挙にいとまがありません。これらが特殊な価値とされるばかりか、国宝や重要文化財に指定されるという国家的な「美」として広く認知されているのです。
こう考えてみると、五十嵐さんの黒木器の在り方は決して特殊な事でなく、ごく一般的な日本の美に適う普遍性をもっていると言って問題ないでしょう。それは材料に含まれる自然性、加工時に発生する偶発性を美しさとして受容する高度な感覚なのです。
しかし、ここで肝心なのは、欠けや割れなどを取り入れれば全てが美しくなるかと言えば、決してそのような事はなく、それをどう美しく捉えて表現に至ったか、また見立てたかという「眼」の力が大切なのです。つい外形的なユニークさに目に集まりがちですが、その本質を見誤ってはなりません。
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五十嵐裕貴 木工展 ~朽ち黒~
2017年6月10日(土)~18日(日)会期中無休
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図
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五十嵐裕貴プロフィール
1984年 千葉県茂原市生まれ
2008年 東京の職業訓練校にて木工を学ぶ
2009年 岐阜県の家具メーカにて家具を作る
2010年 埼玉県川口市の家具工場にて家具を作る
2010年 埼玉県川口市にて独立
2014年 長野県南牧村に移住し、工房を構える
2017年 現在、同地にて製作
五十嵐さんの黒木器の特徴は、木の入り皮、抜け節、割れ、腐食、たわみ、そりなど、つまり 木材の負の要素を転じて見所としている点です。一般的に木工の旋盤や家具の仕事は、建築的な数理の世界とも近く、整然を良しとする傾向にあるのではないでしょうか。そのベクトルとは逆の視点による五十嵐さんの仕事は果たして特殊なことなのか。
一方、焼き物の世界は不良箇所を美的な見所とする偏執的な歴史を辿ってきました。窯変をはじめ、釉薬の縮れである梅華皮(かいらぎ)、化粧土のピンホールによる雨漏り、重ね焼き跡の牡丹餅・目跡、焼け損じのかせ・色斑、さらに成形のゆがみ・たわみなど、枚挙にいとまがありません。これらが特殊な価値とされるばかりか、国宝や重要文化財に指定されるという国家的な「美」として広く認知されているのです。
こう考えてみると、五十嵐さんの黒木器の在り方は決して特殊な事でなく、ごく一般的な日本の美に適う普遍性をもっていると言って問題ないでしょう。それは材料に含まれる自然性、加工時に発生する偶発性を美しさとして受容する高度な感覚なのです。
しかし、ここで肝心なのは、欠けや割れなどを取り入れれば全てが美しくなるかと言えば、決してそのような事はなく、それをどう美しく捉えて表現に至ったか、また見立てたかという「眼」の力が大切なのです。つい外形的なユニークさに目に集まりがちですが、その本質を見誤ってはなりません。










五十嵐裕貴 木工展 ~朽ち黒~
2017年6月10日(土)~18日(日)会期中無休
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図


五十嵐裕貴プロフィール
1984年 千葉県茂原市生まれ
2008年 東京の職業訓練校にて木工を学ぶ
2009年 岐阜県の家具メーカにて家具を作る
2010年 埼玉県川口市の家具工場にて家具を作る
2010年 埼玉県川口市にて独立
2014年 長野県南牧村に移住し、工房を構える
2017年 現在、同地にて製作