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「 原朋子 初個展 SOMETSUKE 」 古色の染付

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「 原朋子 初個展 SOMETSUKE 」(~7/16迄)。会期は残すところあと1日となりました。今回の展示品には、明瞭な藍色の染付の他に、不鮮明に曇った染付も並んでいます。これは意図的に濁しを狙ったものです。染付の歴史には、不完全性に美を求める見立ての世界が存在します。「古染付(こそめつけ)」(☆)は、中国の明末期に作られた粗製の染付で、日本の茶人が口縁の釉剥がれを虫喰い等と称して珍重しました。「古伊万里焼」は、文字通り有田周辺で作られた古い染付です。中でも初期伊万里(☆)は、技術的にも稚拙な様子がかえって侘びた姿を生み出し、骨董として価値を有しています。「くらわんか」(☆)は、江戸期に量産された粗製の染付。数ものゆえに、作為のこもらぬ粗末な姿に価値が見出されます。「印判(いんばん)」(☆)は明治以降のプリントによる染付の器。これも量産によるものですが、時代を映す無機質な柄が好まれるようです。周辺国では、李朝の染付(☆)の簡素な筆使いの楚々とした風情の姿も大いに人気があります。「安南手」(☆)はベトナムの陶磁器全般を指しますが、その中でも陶胎に描かれた安南染付は、呉須の滲んだ様子が絞り手と呼ばれて好まれました。斯様に、骨董における染付の美学は、不完全性、不出来なものに根付くことが多いように思います。西洋の自然支配の論理的な美意識よりも、日本の自然委譲の情緒的で曖昧なものへの美意識が、その根幹にあるのかもしれません。原さんの濁した染付に発して、大げさかつ雑駁な見解になりましたが、そんな視点でこの器を見て頂くことも出来ますし、単に水墨画を見るように淡い景色を楽しむのも良いかもしれません。原さんの侘びの一手。ぜひお楽しみ頂ければと思います。




原 朋子 初個展  SOMETSUKE
2013年7月6日(土)~16日(火) 会期中無休
11:00~18:00  
作家在廊日 7月6日(土)、13日(土)
ギャラリーうつわノート (埼玉県川越市) 地図

  拡大画像はこちら(PDF)


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