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「田村文宏展  古瀬戸」2日目

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「田村文宏展  古瀬戸」の2日目。

古瀬戸(こせと)は、12世紀後期から15世紀後期まで約300年間生産された瀬戸地方の古陶の呼称です。瀬戸は中世以来の古い窯業地である日本の六古窯(ろっこよう)のひとつですが、その中でもいち早く施釉陶器を生産した先端の窯場でした。当時の中国宋代の陶磁器の影響を受け、古瀬戸前期(12世紀後半~13世紀後半)は高級施釉陶器として生産され、その多くが当時幕府のあった鎌倉へ出荷されました。他産地が日用の甕や壺を主に生産したのに比べ、古瀬戸の前期は四耳壺、瓶子、水注など上級品を生産したことも特徴的です。中期(13世紀後半~14世紀中頃)になると天目茶碗に見られる鉄釉を使った黒褐色の陶器が作られはじめ、器の種類も壺瓶類から碗皿などにも広がりました。後期(14世紀後半~15世紀後半)になると壺瓶類に代わって、碗・皿・鉢などの生活用品が主体となり日本全国を席捲する窯業地に拡大しました。古瀬戸の流通は広く日本全国1500地点の遺跡から見つかっており、北海道から九州でも出土しています。(2014年瀬戸市美術館「古瀬戸の全貌」展図録より抄訳)

今回、田村さんが取り組むのは主に古瀬戸前期に見られる四耳壺や瓶子などの武家に向けた峻厳な姿をしたものです。当時の陶工達が中国陶磁に倣いながらも、日本の材料を用い努力を重ねた日本最初の釉薬を纏った陶磁器です。中国ほど極める技術はないがゆえに、そこに生まれる若干の緩み、不均一な窯変、瀬戸ならではの土味など、800年の時代を経て見せる「古瀬戸」の妖艶さを如何に表せるか。そこに田村さんの古瀬戸づくりの意識が集まっています。


田村文宏展  古瀬戸
2019年9月28日(土)~10月6日(日) 
営業時間11時~18時 
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図

プロフィール
1978年 愛知県岡崎市生まれ
2000年 東南アジア・インドへ遊学     
2004年 瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科卒業
2005年と06年 ホンジュラス共和国にて窯業サポート
2010年と12年と14年 カンボジアにて窯造りの手伝い
2019年 現在、愛知県岡崎市で制作

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