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「松本郁美展  西方見聞録 」三日目

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「松本郁美展  西方見聞録 」の三日目。



灰釉黒掻き落し壺(大)高さ20.5 胴径22.5cm



松本郁美さんの中国茶葉の容器を意図して作られた蓋付の壷です。茶経を元にした茶の始まりを表した図柄で、いわゆる中国の水墨画風の人物が洒脱な筆致で描かれています。作品名には灰釉を掛けた掻き落しとありますが、ひと目見ただけでは掻き落しとは分かりません。


例えば松本さんが憧れる磁州窯の掻き落しの場合、白泥と黒泥を木版画のように明瞭に掻き落しているので分かり易いのですが、松本さんの場合、絵柄の周りを薄く掻き落したうえで、艶の消しの絵とその周辺を覆うガラス質の灰釉を掛け分けることで、釉の厚みと質感が微妙に混ざり合い、多層的な絵を生み出しています。文様は技法的に下絵にあたりますが、上釉彩のようにも見え、通常の絵付けの方法論では解読ができません。


なにゆえに複雑な絵付けを行うのか?それは松本さんの作品全般に通ずることですが、平面的な絵付けではなく、焼き物らしい奥行のある絵を描きたい思いがあります。手間は複雑になりますが、効率よりも自分の求める表現に近づくことが肝心なのです。その結果、古典的な絵柄と土と釉薬が溶け合い、松本郁美さん独自の世界が生み出されるのです。




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松本郁美展  西方見聞録  
2022年9月24日(土)~10月2日(日) 会期中無休
営業時間 11:00~18:00  最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6
utsuwanote@gmail.com



略歴
1978年 静岡県生まれ
2001年 成安造形大学環境デザイン科卒業
2009年 京都府立陶工高等技術専門校卒業
2012年 京都市産業技術研究所釉薬実務修了
2017年 景徳鎮陶瓷大学にてレジデンス
2018年 滋賀県甲賀市に築窯
2022年 現在同地にて制作



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