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「吉田佳道 竹の花籠展」 8日目

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「吉田佳道 竹の花籠展 齊藤謙大の花と共に」の8日目が始まりました。会期は明日10月14日(日)までとなります。

虎竹と竹根を自在に編んだ花入れ。今展の中では異色の存在。他の端正な花籠に対して躍動感溢れる一品です。

民具として脈々と続いてきた竹細工ですが、芸術的な竹工芸家が登場するのは昭和に入ってからです。江戸後期から中国の煎茶趣味に応じた竹工芸が盛んになり多くの籠師を生み出します。しかしその頃はまだ唐物写しをベースとした職人的工芸でした。

明治に入るとその制約を超える作り手が登場します。早川尚古斎(1815-1897)や田辺竹雲斎初代(1887-1937)たちが唐物写しに工夫を加えて日本の竹工芸の黎明期を迎えます。大正末には工芸界に美術運動がおこり、昭和には芸術領域に達する作品を作る作家が登場します。それが飯塚琅玕斎(ろうかんさい1890-1958)、生野祥雲斎(しょううんさい1904- 1974)、田辺竹雲斎二代(ちくうんさい1910-2000)達です。唐物から脱却した日本独自の竹工芸の確立。目をみはる造形物としての竹工芸の世界。この領域の竹工芸は今の時代にも続いています。7月まで智美術館で行われていた「飯塚琅玕齋と田辺竹雲斎でめぐる竹工芸」展は記憶に新しいところです。

吉田さんのこの花入れは、そんな表現的な竹工芸の世界を彷彿させる造形です。自在に行き交う竹の線、それを繋ぎとめる竹根。荒々しい中にも吉田さんらしいまとまりの良いラインが見えてきます。時に予定調和をはずれて、自分自身を試すようなお仕事も大切でしょう。

しかし吉田さんの立ち位置は美術工芸ではなく、かといって民具でもない。暮らしを軸にして美を引き寄せる仕事と言えばいいでしょうか。あくまで生活者目線の延長線上に竹の美を見ているところが特徴であり、価値なのです。

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 虎竹花入れ竹根 幅68 奥行20 高さ14cm

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 虎竹花入れ竹根 幅68 奥行20 高さ14cm


吉田佳道 竹の花籠展 齊藤謙大の花と共に
2018年10月6日(土)~14日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6  地図

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吉田佳道(よしだ よしみち)プロフィール
1962年 大阪府生まれ
1988年 大分県別府にて竹工芸を学ぶ
1993年 長野県安曇野市にて独立
2018年 現在、同地にて制作

齊藤謙大(さいとう けんた)プロフィール
1975年 茨城県生まれ
2003年 野草生産業者に従事
2008年 茨城県古河市にて独立
2018年 野草生産を通していけばなを行う


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