Quantcast
Channel: うつわノート
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4263

「吉田佳道 竹の花籠展」 8日目-2

$
0
0
「吉田佳道 竹の花籠展 齊藤謙大の花と共に」の8日目。会期は明日10月14日(日)までとなります。最終日もいけばなワークショップを開催します。参加はご予約の方のみとなりますが、ガラス越しに中の様子はご覧頂けます。

写真は、長野県安曇野市にある吉田佳道さんの工房兼ご自宅子です。作品展示スペースも併設されています。

工房では、竹ひごを作る工程を見せて頂きました。真竹を割り細かく裂いていく過程で、シュッシュッと竹を削る心地良い音がします。刃を土台に立ててひごの厚さを整えていく作業は、刃の角度調整や絶妙な力加減があり、その神経の細やかさが、作品の隅々まで届いていることが実感できます。地道な作業の積み重ねのうえに美しい花籠は生まれるのです。

東京の大学卒業後、生花会社に勤めます。ホテルの活け込みやパーティのアレンジなどを通して竹に出会います。当時、大量に使われた竹が廃棄される様子を見て、それを何とか出来ないものかと思っていたそうです。意を決して会社を辞し、大分県別府市の訓練校に入所します。そこで基本的な技術を学びました。卒業後も師匠のもとで修業を積みます。四年半の別府生活を離れ、特に縁のない安曇野市に居を移します。竹工芸の盛んな別府の利点はたくさんありましたが、産地ゆえの流通の制約や製作の固定化から解放されたいとの思いもあったそうです。

別府で築いた取引先や材料調達の利便は失いますが、その頃から暮らしに向けた工芸の芽生え、「生活工芸」の黎明期に立ち会います。職人的な竹工芸の世界から、より洗練されたクラフトの時代が始まります。その当時から拘ったのが、花籠づくりでした。中国から伝わった竹工芸がやがて日本独自開花を遂げ、その中でも花籠の存在は大きな分岐でもあります。茶の湯の世界に限らず、もっと暮らしの中でその美意識を定着させたいとの思いが吉田さんの中にあったのでしょう。

暮らしを軸にした工芸は今や常識化し、第二、第三のブームを迎えています。竹工芸の世界でもバックや物入れなど実用性と美しさを備えたかごブームが広がっています。吉田さんも時勢に合わせたかごは製作していますが、やはり拘るのは花籠の世界。美術工芸と暮らし工芸の間を繋ぐ立ち位置にいます。いつか花籠をテーマにして自分の採ってきた野草も合わせて展示会をしてみたいとの思いがあったそうです。今回は齊藤謙大さんの力を借りて花と共に、花籠の展示会が実現しました。竹工芸のブームの中にあって、ご自身の思いを崩さない、そんな矜持が皆様にも伝わったでしょうか。残り1日、ぜひ実際の空間を通して触れてみて欲しいと思います。

d0087761_134715.jpg


d0087761_135556.jpg


d0087761_14135.jpg


d0087761_142059.jpg


d0087761_142758.jpg


d0087761_14335.jpg


d0087761_144033.jpg


d0087761_144618.jpg


d0087761_145379.jpg


d0087761_14599.jpg


d0087761_15619.jpg


d0087761_151472.jpg


d0087761_152284.jpg



吉田佳道 竹の花籠展 齊藤謙大の花と共に
2018年10月6日(土)~14日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6  地図

d0087761_20224868.jpgd0087761_2023324.jpg

吉田佳道(よしだ よしみち)プロフィール
1962年 大阪府生まれ
1988年 大分県別府にて竹工芸を学ぶ
1993年 長野県安曇野市にて独立
2018年 現在、同地にて制作

齊藤謙大(さいとう けんた)プロフィール
1975年 茨城県生まれ
2003年 野草生産業者に従事
2008年 茨城県古河市にて独立
2018年 野草生産を通していけばなを行う


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4263

Trending Articles