
「東亨展 素材側から」の8日目。
工芸作家なら誰しも素材に触発されて何かを作りたくなる経験はままあることだと思います。東さんはその素直な感覚を「燧具(ひうちぐ)」という言葉で表し、創作の発火点となる動機の主客を入れ替えて、素材側から提案しているのです。
今はなかなか自分の作っているものや行為を概念化する作家は少ないように思いますが、東さんは当初から「作るって何だろう?」という問い掛けを自分の作品を通して表現していると思います。作っているそのモノが作り手の言葉でもある訳ですから、敢えて言語化しなくてもいいとも言えますが、しかし一方で概念を自ら表していくことで、その意味を考え、その時代の価値感と接続していくことも大切だと思います。
こう書くと東さんの印象を難しい人物と感じるかもしれませんが、そんなことは全くありません。実際に会うとほんわかとした口調で包み込まれるような優しい人物です。機会があればぜひ一度お話してみてください。
会期は明日10/3(日曜)までとなります。最終日は時間を繰り上げて17時で終了させて頂きます。ご都合がつきましたらどうぞご覧ください。
東亨展 素材側から
東 亨(あずま・りょう)プロフィール

