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「 橘岳 ・ 鈴木都 展 古瀬戸と美濃 」 桃山の形

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「 橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~ 」(~1/27迄)を開催中です。

鈴木都さんが作るのは、桃山時代に作られた器を本歌とするもの。

岐阜県の東部の美濃地方(多治見市・土岐市・可児市・瑞浪市・笠原市)には、陶芸に向く豊富な材料が揃っています。室町時代に瀬戸から移入してきた陶工たちが、美濃に新しい技術を持ち込みました。桃山時代に入ってから本格化した茶の湯の文化を背景に生まれたのが、美濃地方の桃山陶のスタイルです。それまでは中国陶磁の写しを中心とする唐物志向でしたが、桃山時代の天正年間になると、黄瀬戸・瀬戸黒・志野と呼ばれる和物の茶陶が作られました。

黄瀬戸は、天正年間に向付や鉢が多く作られています。文字通り薄い黄色で、窯の技術が向上して酸化焔で焼成できることで実現した鉄分によって生まれる色合いです。線刻や印花による模様の上に、タンパンと呼ばれる銅による緑色や鉄の茶色の色が付けられるのも特徴です。温度帯のコントロールが難しく、黄色の発色、艶、そしてタンパンの模様など、技術的なバランスに苦労が多い焼き物です。その中でも、焼けた釉薬の肌合いが、油揚げのようになったものを油揚げ手と呼んで、特に珍重されています。

また志野は、天正年間後期に生まれた白色ベースの焼き物です。鉄分の少ない白土を生地にして、その上に長石を主体とする釉薬を厚く掛けて作られます。その作風によって、白志野・鼠志野・赤志野・紅志野など分類して名付けれています。日本国産の茶碗として、国宝に指定されているのは2つしかありませんが、その内のひとつが「卯花墻(うのはながき)」と銘する志野茶碗です。このように茶陶を代表する作風が、志野焼きなのです。

本日ご紹介しているのは、そのような歴史背景を踏襲した黄瀬戸と志野の向付や鉢、そしてお皿です。茶碗ばかりでなく、日常の食器としても活躍する日本伝統のスタイルです。フリースタイルの焼き物が全盛のこの時代に、伝統と繋がる食の器を使いこなす事で、あらためて新しい喜びが生まれるのではないかと思います。

  黄瀬戸輪花鉢 径16cm 高さ6cm

  黄瀬戸銅鑼鉢(梅樹文) 径16cm 高さ5cm

  黄瀬戸輪花向付(梅樹文) 径7.5cm 高さ5.5cm

  鼠志野皿 径13.5cm 高さ2.5cm

  鼠志野足付向付 径16cm 高さ7cm

  志野四方向付 6cm角 高さ7cm

  鼠志野四方向付 6cm角 高さ7cm

  志野丸皿 径13.5cm 高さ2.5cm
  志野輪花皿 径13.5cm 高さ2.5cm


橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~
2015年1月17日(土)から27日(火)まで 会期中無休
営業時間 11時~18時  
ギャラリーうつわノート (地図)

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橘 岳 (たちばな・がく)
1978年 千葉県生まれ
2004年 一橋大学社会学部卒業
2010年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、愛知県瀬戸市で制作

鈴木 都 (すずき・しゅう)
1984年 東京都生まれ
1997年 美濃古窯跡を訪ねる
2011年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、岐阜県土岐市で制作


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